社会的養護の子どもとは、保護者のいない児童・被虐待児など、家庭環境上養護を必要とする児童などに対し、公的な責任として社会的に養護を行うべき子どもたちを言います。
社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」と 「社会全体でこどもを育む」を理念として行われています。
対象児童は約4万5千人が親と離れて暮らしています。(2017年3月現在)
養育困難になる最も多い理由が、虐待(身体的、心理的、性的虐待)と育児放棄(ネグレクト)。年々増加しています。
親の失業や不安定な雇用によって養育が難しくなり、措置される子どもの数も増えています。
親の病気はもちろん、うつ病や統合失調症、アルコール依存などの精神科疾患も、親の健康問題に含まれます。
交通事故や事件、自然災害等により、養育が困難な状況になる子どもたちがいます。
ひとり親になり収入を確保するため子どもを育てられない、あるいはDVを受けた親も含まれます。
虐待のケースが後をたちません。むしろ、どんどん増えている現状にあります。
児童相談所における児童虐待相談対応件数
各都道府県・政令指定都市の「児童相談所」が、重要な役割を果たします
虐待を受けた子どもは、児童相談所を経て措置先が決められます。
乳児院 | 乳児 |
児童養護施設 | 保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上保護を要する児童 |
情緒障害児短期治療施設 | 軽度の情緒障害を有する児童 |
児童自立支援施設 |
不良行為をなし、またはなすおそれのある児童及び環境上の理由により 生活指導等を要する児童 |
母子生活支援施設 | 配偶者のない女子又はこれに準じる事情のあり女子及びそのものの保護すべき児童 |
里親 | 家庭における養育を里親に委託。養育里親・専門里親・養子縁組里親・親族里親がある |
自立援助ホーム | 児童養護施設を退所後、就職する児童等が共同生活を営む住居において自立支援 |
ファミリーホーム | 養育者の住居で養育を行う家庭養護 定員5~6人 |
平成28年、改正児童福祉法改正の成立により、家庭的養護の養育がすすめられ里親への委託比率が増えていています。
用語解説
措置:子どもや保護者を児童福祉司や児童委員に指導させたり、子どもを児童福祉施設に入所させたり里親に委託すること
児童養護施設に入居している子どもたちの多くが虐待・育児放棄を受けています。
不適切な成育環境のため、自分をうまく表現できずに他人との友好な人間関係を結ぶことが苦手と言われています。
18歳で自立し就職してからも、コミュニケーションでつまづき離職する若者が多いことが課題になっています。
そこで、入所中にコミュニケーショントレーニングを受けて、人とのかかわり方に自信を持って自立することが求められています。(「実態調査」研究参照)